ケイマン諸島とパナマ・孫子の兵法 事務所便り2016年5月9日(月)No388

ケイマン諸島とパナマ

税金は本来、富める者が負担し、社会の格差を縮小し安定させるものですが、現代では逆に庶民が負担し、それを利用して富める者がさらに富み、「格差」は拡大するばかりです。

各国は法人税の引き下げ競争をし、日本はその穴をマイナンバーで露払い、庶民が負担する消費税などで埋めようとしています。

この問題に日本人はもっと注目し、もっともっと真剣に怒るべきだと思います。

本来支払うべき個人や法人が、合法を隠れ蓑に、国外に資金を移籍している実態は明らかです。

これは先月「日本銀行が公表した国際収支統計にヒントがあります。統計は日本の対外経済取引を記録したデータで、これを国別にまとめたのが『直接投資・証券投資等残高地域別統計』。

この中にタックスヘイブンとして知られるケイマン諸島が出てきます。人口わずか5.5万人のケイマン諸島に対する残高は、初登場した2001年末は18兆6411億円。それがどんどん増え、最も新しい13年末は60兆9280億円に膨れ上がっています。

つまり、残高=利益と捉えれば、実に28年度国家予算233兆円の61兆円(26%)のカネが課税を逃れている疑いがあるのです。

大ざっぱに言って、今の法人税率(約23%)が適用すれば、約14兆円もの税収になる計算です。

これは消費税7%分に相当します。消費税率1%で税収2兆円ですからから、他のパナマやアメリカ本国とタックスヘイブン地域を合わせれば、とてつもない課税漏れの金額になる。

2013年11月13日に「脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得についての課税権の配分に関する日本国政府とケイマン諸島政府との間の協定」が発効されました。

ただし、課税権配分に関する規定は、次のものに限り適用されています。
・源泉徴収される租税に関して、2012年1月1日以後に租税を課される額
・源泉徴収されない所得に対して租税に関して、2012年1月1日以後に開始する各課税年度の所得です。

総務省が4月28日発表した3月の家計調査によると、2人以上世帯の消費支出は1世帯あたり30万889円で、物価変動を除いた実質では前年同月比5.3%の減少。

2ヶ月ぶりにマイナスとなり、減少率は2015年3月(10.6%減)以来1年ぶりの大きさです。

それでも総務省は消費支出を巡り「弱い動きがみられる」との基調判断を変えていません。

消費支出の内訳(実質)をみると、昨年4月の軽自動車税の影響などで「交通・通信」が前年同月比12.1%減少。洋服やシャツ、セーター類などの「被服及び履物」は12.2%減。3月中旬以降も肌寒い日が続き、春物衣料の販売が振るわなかった。教養娯楽サービスは4.5%に減っています。

勤労者(労働者)世帯の1世帯当たり消費支出は33万4609円で、4.9%の減少です。前年同月比を下回るのは2カ月ぶり。

不景気の実感は道理です。

孫子の兵法

古典でシナの兵法「孫子」は、勝つことを最優先にした、権謀術数(不正な手段)の書なのである。本質は、だまし勝つ戦略である。

一方西洋では、プロイセンの将軍カール・F・ クラウゼヴィッツの「戦争論」に見る異教徒に対する「征服者」の兵法がある。

わが国は、戦国時代を経て「いかに生き、いかに死すか」の武士の「誠」が形成され、大義に殉じ死を恐れることなく、ひたすら戦う正義感、己を捨て公に尽くす日本の「武士道」に昇華しました。

血の中にある同朋意識、それに反し集団社会を離れて個人主義に走り、自我に執着、私利私欲に走る社会の「邪悪な人間」共は、当然自分達のコミュニティを形成するのです。

先人達の生きざまを学び、日々の実践に心がけることを通じてのみ、武士道精神の美徳は身につかないのです。

これはしないことをしないことにあります。

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