金沢市長 山野之義様 事務所便り2016年8月23日(火)No401

身勝手な金沢市?

金沢市長 山野之義様

平成27年8月6日金沢市税務課が債権総額46,789,804円に対し、3,071,300円(延滞金含む)の滞納処分(債権差押)を行った。さらに、平成27年9月18日金沢市医療保険課が当不動産を、滞納額1,014,509円で差押を行った。

金沢市医療保険課はすでに賃料債権に対して十分差押の余地があったのである。

本人は平成27年8月24日金沢市税務課に、債権差押物件が売買交渉中である旨を伝え、平成27年11月末まで全額納付する「未納の市民税債務の承認及び納付誓約書」を指示され提出、売却代金で完納を誓約した。しかし当該物件の売買交渉中にもかかわらず、金沢市医療保険課が平成27年9月14日に不動産の差押を実行、さらに、不動産を譲渡しても差押債権が消滅しないにもかかわらず、金沢市税務課は平成27年10月20日、不動産の参加差押を行った。

これら一連の差押が売買の交渉に与えた影響は皆無と言えず、金沢市民の自己申告納税の努力と権利を著しく阻害したものである。

また、本人が野々市市に土地を所有している事実を金沢市税務課に通知していることでも、金沢市医療保険課の差押可能な財産は差押処分に係る土地のみとはいえないものであった。

金沢市医療保険課は金沢市税務課の差押内容について、あるいは本人の所有する土地について不知であったとすれば、金沢市医療保険課は徴収法第5章第6節第2款「財産調査」を行っていないことになる。

さらに、差押えで財産の選択は、国税徴収法基本通達第5章第1節第1款第47条関係第17項の規定に基づき、徴収職員の裁量によるとして、賃料の支払い請求権でなく、不動産を差押えたとしても必要を超えた差押に該当しない旨弁明する。

しかし、この通達は滞納者の財産調査をした上で差押さえる財産の選択にあたっての基準ないし留意事項について定めたものである。

差押の対象としてどのような財産を選択するかは、法令の定めはなく、徴収職員の合理的判断(裁量)に委ねられていると解されるが(昭和34.4.17仙台高判・行集第10巻1529頁)一方、差押さえるべき財産の選択は、第三者の権利の尊重・滞納者の生活または事業の維持継続を配慮した上で徴税上の便宜を考慮して行うこと。

また、滞納者からの申し出があるときは、徴収の確保に支障がない限りその申し出に係る財産を差押さえることが妥当であると解されるのであって、金沢市医療保険課や金沢市税務課の職員に無制限の裁量をあたえ、本人に属する財産であれば「何を」差押さえても適法であると解すべきではない。

本人より財産の申告、差押財産の申出がなかった旨弁明するかもしれないが、行政通達は、行政内の内部規律であってなんら請求人を拘束するものではない。逆に、滞納者によく話を聞き合理的な判断を行うよう定められているものである。

もし、金沢市医療保険課や金沢市税務課がどの財産を差押さえるかについて無条件・無原則に裁量があたえられていると解するならば、常軌を逸しているとしか言いようがない。

また国税徴収法48条は著しく超過した差押及び無益な差押の禁止を定めている。

この滞納処分が明らかに超過差押であるとの指摘に対し、金沢市医療保険課は金沢市内を調査したが差押えれる財産がそれのみであり、超過差押で必要を超える差押に該当しないと主張。

結果、金沢市医療保険課が行った差押処分で土地は、平成27年11月17日坪当たり137,225円。当初想定する総額及び、単価交渉の主導権を失い希望額を大きく下回る総額4,400万円余の売買が成立、平成27年12月4日に物件引渡しが行われた。

金沢市医療保険課及び金沢市税務課の一方的な行政処分が、売買契約中の価格決定に多大な影響は無視できない。結果、回復困難な損害を金沢市が与えたものである。

平成28年8月

石川県国民健康保険審査会審査請求・反論書より

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